2013年12月2日月曜日

その8 老猫ケアや日頃心がけたいことを教えてください

ドライフードが主食の18歳の雄猫、最近やや便秘気味です。体重が減って、寝ている時間が増えました。彼のクオリティ・オブ・ライフを保つお手伝いとして、なにか出来ることがあるでしょうか?(千葉県 女性 38歳)

18歳の猫は、人間齢に換算すると88歳くらい。
ご長寿猫さんですね。
猫もこのくらいになると、人を上手に使います(笑)。

【老化の傾向と対応】

1.痩せて、背骨がゴツゴツしてくる
 体重が減ることによって、関節や心臓への負担が軽くなるというメリットもあります。

2.毛繕いしなくなり、毛艶が悪くなる
 被毛のケアには、使い慣れたコームやブラシを。
 猫の森考案のフエルト製「猫磨き」もお薦めです。

3.歯根が溶けたり、歯周病などで口臭やヨダレが出る
 口の衛生は命の源。
 口内の雑菌が内蔵疾患に繫がることもあるので、口に違和感がるようなら、早めに動物病院で治療を受けましょう。
 猫は「よく噛んで食べる」歯の構造ではないので、抜歯しても、さして食事に影響はありません。

4.爪のサヤが自然に抜けなくなり、太く白濁してくる
 放っておくと爪が肉球に食い込むこともあるので、時々チェックを。

5.視力が衰える
 室内で暮らす限りは、目が見えなくなってもそんなに不自由はしません。

6.聴力も衰え、夜中に大声で鳴いて徘徊することも
 夜中の彷徨は「テリトリー不安」の可能性があります。
 その時は狭い部屋やサークルに閉じ込め、自分の居場所を確認できるようにする方法があります。

7.足腰の筋力が衰え、ジャンプできなくなる
 早めに踏み台などを設置し、猫のプライドを傷つけないようにします。

8.食の選り好み好みが激しくなり、気に入らないと食べないことも
 1度に食べる量も減ってきます。
 食べたいタイミングで、うまく食べて貰えるよう、常に数種類のキャットフードを用意しておくこと。
 また、別章でもお話しましたが、一般的にNGとされているものでも、老猫にとっては食べたいものが生きる力になるように思います。

 延命か? 
 生きる喜びか?

 価値観は人それぞれ。
 猫が何を欲しているか、真剣に耳を傾けてみてください。

9.腎臓機能の低下で、多飲多尿になる
 各部屋に水飲み場を設置し、トイレを増設します。
 トイレの外におしっこやうんちをこぼすようになったら、トイレ容器を縁の低いものに変えたり、トイレ周囲にペットシーツを敷くとよいでしょう。

10.寝ている時間が長くなる
 眠りを妨げないよう。
 また、寝床を清潔に保ち、若い頃より身体を丸めるのが困難になるので、広い寝床を。

11.排泄困難で、便秘気味になる
 排泄の際、力めなくなり、排泄困難になりがち。
 少しずつ水分や繊維分の多い食事にして、便秘予防を。
 腸を温めて、腹部マッサージや、毛玉除去剤(ペトロモルトやラキサトーン)、植物油を舐めさせても。

12.体温調節がしにくくなる
 猫は寒さに弱い動物なので、老病に保温は特に重要です。
 湯たんぽや自身の体温で保温できるマットなど、極力電磁波の影響を受けない暖房を選びましょう。
 また形状としては、3方に囲まれた猫ちぐらのような形を好む傾向があります。



年寄り猫さんはいつもの環境で、家族といっしょにすごすことが大好きです。
ただそばにいること、それだけで十分です。
ですから、なるべくあなた自身が、ニコニコご機嫌さんでいること。

彼らの時間は、私たちの4倍もの早さで流れてゆきます。
彼らといっしょにいられる時空間そのものが、一期一会の奇跡だと私は思います。

年寄り猫さんとの時間を有意義に過ごせますように。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。


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