2013年10月28日月曜日

その3 猫の里親になりたい

大人の猫を引き取りたいと思っていますが、里親サイトなど見ると、里親の条件がけっこう厳しくて、二の足を踏んでしまいます(愛知県 30代女性)


たしかに里親の条件が厳しいという声は時折耳にします。
しかし、立場を変えれば、そうせざるを得なかった事情があるはずです。
良心的な里親さんばかりではないということですね。

里親探し活動をされている方と、猫を迎え入れたい方のマッチングの方法、なにかいいアイデアがないものでしょうか?


さて、先日開催した猫の森ワークショップでのこと。
受講2回目のAさんが、私のところにやってきて言いました。
「先月、うちに入り込んできた猫の貰い手を探しています。ポスターを貼らせてもらっていいですか?」
A4サイズの手作りポスターには、可愛らしいキジトラ猫の写真。

「わぁ、可愛い!」
すぐに受講者のみなさんがポスターを見に集まってきます。

その中で、じっとポスターを見つめていたHさんが、
「今日、家族と相談して、連絡してもいいですか?」
と口を開きました。
Hさん、昨年愛猫を亡くされ、今は猫のいない生活です。

Aさん、
「もちろんです。よろしくお願いします!」
ワクワク、ワクワク。
これから、どのように展開するかは彼らに任せましょう。


猫を迎えたいと思ったとき、選択肢がペットショップと動物愛護団体だけだと行き詰まってしまうかもしれません。

でも、今お話したような個人レベルのやりとりであれば、かなり自由はきくでしょう。
特に猫の森で同じ授業を受けた仲であれば、より安心ではないかしらん(笑)

Aさんは言います。
「猫は貰ってくださる方の家まで、車で届けます」
立派な誓約書を交わすことより、行動して、直感を働かす。

そして、心配より信頼。
以前、里子に出した家に毎日通い詰めて、結局猫を返された方がいました。
里子に出した子を思う気持ちも分からなくはないですが、所詮すべてを把握するなんてできません。
信頼オーラが、そこに関わる人や猫すべての上昇スパイラルを構築する基本です。


私の猫は、知り合いから貰うか、拾った猫ばかりです。
全て出会うべくして出会っているなぁと思います。

まさに猫は天からの贈り物。

そうそう、なぜか私の猫ワークショップを受けた翌日、黒猫を拾った方が5名以上いるのです。
「ええー、また黒猫ちゃんですか?!」
最近では驚きませんが、もし黒猫と出会いたい方がいたら、南里のワークショップにいらっしゃいませ。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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【今週のおすすめ記事】「なんりひでこの猫よろず相談」以前の記事より

【今週のおすすめワークショップ】
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2013年10月21日月曜日

その2 新入り猫と先住猫の関係について

4歳になる雄猫がいますが、生後8ヶ月の雄猫を引き受けることになりました。どんなことに気をつけたら、いいでしょう?(28歳・女性)

先住猫と新入猫の関係、こんな目安で考えてみてはいかがでしょう?


3日、3週間、3ヶ月


まず、3日間、2匹の様子を見ます。
すぐに仲良くなれば万歳、ラッキー。
そうならなくても当たり前と受け止めます。

次の期限は3週間。
この頃になると、それなりに落ち着いていると思います。
シャーシャー、フーフー、言っても流血のケンカにならなければ、よしとしましょう。

そして、3ヶ月後。
さぁ、2匹の関係はどうなっているでしょう?

3日、3週間、3ヶ月、待ってみる。

さらに3年、待ったっていいんですから。

「ええーっ、全然、仲良くならないよ」
というあなた、猫たちにどうなってもらいたいのでしょう?

往々にして、ヒトは
「早く仲良くなって欲しい」
という欲が多すぎるように感じます。

そう思う時、それはヒトのペースになっています。


もし、あなたが先住猫なら、どうでしょう?
もしくは新入り猫だったら?

猫もヒトと同じです。
人懐っこいタイプもいれば、恥ずかしがり屋もいる。
ひとりが好き、大勢でワイワイするのが好き。
 
ひとりひとり違って当たり前で、いろんな個性があるから面白い。
ヒトの場合は、こんなふうに考えられるのに、なぜ猫に対しては、
「こうあってほしい」
という要求が強くなるのでしょう?
不思議ですね。

あなたがだれかさんをコントロールできないように、猫をコントロールすることはできません。


でも、理解しようとすることはできる。

猫の身になって、想像してみることはできる。

猫と暮らすことは、猫の視点を手に入れることだと、私は思います。

それが2匹になれば、2猫の視点を持つということ。
せっかく猫と暮らすなら、この特典を活かしましょう。


ヒトとしての見方をいったん捨てて、猫になってみる。

ヒトは不自由な生き物で、なかなか自分の視点を外そうとしませんけど、ね。




現在、猫の森「桜舎」の猫は5匹。
最年少猫は5歳、最年長猫は15歳(しかも2匹)。
彼らは、やって来た時期も違う。
それぞれがまったく違う環境からやってきて、今、ここでフツーに暮らしています。


猫は順応能力が高いのです。
私は特になにもしません。
そう、強いて言えば、彼らをよく見て、感じていること、くらい。

ですから、心配せず、彼らに任せてみましょう。
余計な欲や期待を持たず、ありのままを受け入れること。

こちらの肚が決まっていれば、彼らは安心します。
こちらがアタフタしていると、彼らはわざと困らせるようなことをして、
「ホントに受け入れる覚悟はあるの?」
と試してきます。


慌てず、焦らず、諦めず。
猫のペースを尊重してつきあうこと。
お互いに時間をかけてつきあうなかで、きっと居心地のいい距離感がつかめると思います。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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2013年10月14日月曜日

その1 ペット不可住宅で猫と暮らしています

ペット禁止住宅で猫と暮らしていますが、注意すべきことがあれば教えてください。(36歳・女性)


 私は常々、「家は猫がいて完璧になる」と思っています。
 つくづく猫がいる暮らしは、豊かで、楽しく、笑いが絶えることがありません。

  家は明日への活力を養う大切な場所。
 だからこそ、暮らしのスパイスともいうべき猫の存在は重要だと想うのです。

 ああ、なのに、なぜに日本は「ペット不可」が多いのでしょうか?
 なんかこう、狭い室内以上に、ペット不可が日本の文化の低さを露呈しているようで恥ずかしく感じてしまいます。

 不動産業界、特に貸し主さんの中には、
「猫は犬より部屋を汚すし、匂いがひどいので、貸したくない」
との思い込んでいる方が多いと聞いたことがあります。

 とんでもない!

 明らかにこうした苦情の原因は、猫ではなく、いっしょに暮らす人の問題です。
 猫はきれい好きで、体臭のない動物です。(あ、実際にはほんのりお日様の香りがしますけど、ね)
 部屋を汚す、とは壁での爪研ぎのことでしょうか? ※これに関しては以前、お話したときのことを参考にしてみてください。

>>> シーズン3 その9「壁の爪研ぎをいかに防ぐか? 猫の本能VSヒトの工夫

 まずは、最低限上記のような苦情が出ないように注意しましょう。
 掃除をまめにして、室内の清潔を保ちます。
 ベランダに洗濯物を干す際は、猫毛を取り除いておきましょう。
 間違っても、ベランダで猫のコーミングやブラッシングはしないことです。

 そして、住民としてのマナー(ゴミ出しのルールとか)を守り、円満なご近所づきあいを心がけましょう。
 わざわざなにかをする必要はありません。ただ、
 「おはようございます」
 「こんばんは」
 顔を合わせたら、感じよく挨拶を交わす。
 人間関係、コレができていれば大丈夫。

 ひょっとすると、近い将来、うっかり猫が脱走するかもしません。
 その時、助けになるのは日頃の行動とご近所づきあいだと思います。

 私は過去にペット不可マンションを、ペット可に変えたことがあります。

 住宅数300軒を超す大型マンションでペット問題が浮上した時、「ペット飼育委員会」を作り、みんなでルールを作り、承認にまで持って行ったのです。
 
 発端はエレベーター内での犬のおしっこだったのですが、
「私はキャットシッターという仕事をしていますので、ぜひお手伝いさせてください」
と名乗りを上げたのでした。
 結果、当時の理事長さんといっしょに、かけずり回って得た経験は、今大変貴重なものとなっています。
  
 今、たまたまペット不可住宅の方も、良識の範囲で猫と暮らしを楽しんでいるなら、あまり気を揉まないことです。
 時々
「猫の鳴き声が聞こえているのでは?」
と心配される方がいますが、猫の声を察知するのは猫好き。
猫に興味のない人に、猫の声は聞こえないものですよ。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

今回から、シーズン4がスタートしました。
以前からお読みいただいている方も、初めての方も、全12回、ぜひお付き合いください。

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【 今週のおすすめワークショップ 】
>>「猫の學校」 6.猫の住まい
猫もヒトも快適な住環境を整えれば、猫との暮らしがもっと楽しくなります。

2013年10月7日月曜日

相談その12 猫トイレ以外でのおしっこについて、ある猫の場合


去勢済みのオス猫ですが、ひんぱんにお布団にそそうするので困っています。(東京都 40代女性)



なんりから

お布団におしっこは困りますねぇ。
でも、ネロ君は気持ちいいでしょうね。
お布団は柔らかくて、おしっこは跳ね返らず、すぅーっとしみ込んでいくから。

シッティング先でも、そそう防止にベッドにすっぽりビニールカバーをかけていたり、部屋中にペットシーツを敷き詰めているお宅を見かけることがあります。
たしかにお布団丸洗いは大変ですものね。

そういうお宅では、夜寝る時猫を寝室から出すのだとか。
せっかく猫と暮らしていて、猫といっしょに寝ないなんて、なんだかもったいないような気がするのは、私だけ?(笑)

さて、ネロ君はなぜお布団におしっこをするのでしょう。
「そんなことより、そそうを止める方法を教えて」
いえいえ、急がば回れ、というではありませんか。

病気に見立てれば、「お布団にそそうする」のは、表面に出た症状ということになります。
その場合、原因を突き止めることが、病気の元を断つ早道です。

なんり:病気のサインとは考えられませんか?
ご家族:動物病院で検査をしてもらったのですが、どこも悪いところはないのです。
なんり:では、ネロ君はどんな時にそそうするのですか?
ご家族:私の目の前で堂々とやるんです。あわてて、トイレに抱っこして連れてくと、ちゃんとトイレでもおしっこする。
なんり:ほー、そりゃ、確信犯ですね(笑)
ご家族:なにかストレスでもあるんでしょうか?

ちょっと脇道に逸れますが、よく使われる「ストレス」という言葉。
たいてい悪者にされてしまいますが、逆にストレスがなかったら、ストップが効かなくなったり、成長や進歩もなくなってしまいます。
実際にはストレスフリーより、適度のストレスとうまくつきあうほうがいいように思います。

なんり:なにか思い当たることはありますか?
ご家族:私が疲れていたり、忙しい時に限ってやられるような気がします。だから、余計「キィーッ」となってしまうんですけど……。
なんり:その反応は、ネロ君を喜ばせるだけかもしれませんねぇ。
ご家族:え? 私が怒るとネロが喜ぶんですか?
なんり:お布団におしっこすると、注意を惹けると学習したのかも?ですね。
ご家族:ええーっ!

(しばらく考えている様子のご家族)
ご家族:私がネロのペースにはまっちゃいけないんですね。
なんり:猫は人をもて遊ぶことにかけては天才ですから、ははは。
ご家族:ネロにそそうは、私の気持ちに余裕がないサインのような気がして来ました。
なんり:だとしたらネロ君は家族思いですねぇ、えらい、えらい。

少し原因がほぐれてきた感じです。
案外ネロ君のストレスではなく、ご家族のストレスが原因のような部分もあるのでしょうね。

ネロ君のそそうは問題行動ではなく、
「疲れているみたいだから、ゆっくり休みなよ」
のメッセージと受け取れば、怒りは感謝に変わるでしょう。

ただし原因がわかっても、そそうが簡単に治るとはかぎりません。
まずはご家族が変わることが先決ですからね。

猫を変えようと思うのではなく、自分の行動を改める。
みなさんに生き方を示唆してくれる猫師匠たち、ありがとう!






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【関連する南里秀子のワークショップ】