2013年6月10日月曜日

その7 猫の言葉がわかりますか?

年寄り猫のコミュニケーション術

猫の鳴き声は、実にバリエーションに富んでいます。

先日22歳で旅立ったズズは、毎朝、枕元で
「ヘッヘェーー」
と鳴いて、私を起こしてくれました。
決して大きな声ではないのですが、この一声でパッと目が覚める。

また、ズズに
「ハァーン」
と、聞き取れないほどのかすかな声で、ごはんをねだられると
「ハイハイ、ズズさん、なにが食べたいですか?」
と、どんなに忙しくても、言いなりになってしまうのでした。

サイレントニャーオ

口はあけるが声は出ない。
猫にこれをやられると、もうたまりませんね。


去年、21歳で天寿を全うしたミンも
「ンーン、ンンーン」
という声で、望みのものを手に入れました。

現在15歳のりゅう君は真夜中に、
「アオーン、アオーン」
と大声で鳴き、夜食を要求します。
はい、これにも抵抗できません。

さすが年をとった猫は、人をつかうコミュニケーション術に長けています。
自分の意思を、確実に人に分からせ、それを通す。


若い猫はどうかというと?


その点、まだ若い猫は無駄に鳴いているというか、意味不明な場合が多い。
人に「伝わる」ような鳴き方ができないのですね。

午後になると、
「ンガーン、ンガーーン」
と騒ぎ始めるちぃちぃは5歳。
「ンガ、ニガガーン、ウニャーン、ンガニャーン!」
大きな声を張り上げるわりには、なにをしたいのかが伝わらない。
私たちは笑って、ちぃちぃの鳴き真似をするだけです。


ちぃちぃの意思が伝わるのは、唯一
「(ニャッ)腰パン、プリーズ!」
のみです。
※腰パンとは、腰のあたりを手のひらで、リズミカルにパンパンを軽く叩くこと。嫌がる猫もいるので、最初の数回は様子を見ながらを、おすすめする。

腰パンフェチのちぃちぃは、パンパン叩いている私を振り返りながら、
「もっと強く!」
とか
「もっと速く!」
とか、注文をつけます。
ちぃちぃ、腰パンに関してのコミュニケーションだけは達者なのです。


現在、紅一点の夏子姫は10歳で熟女の年代。
キュルリンとした瞳で、下から見上げて来て、ややしゃがれ気味の声で
「ニャーーンッ」
と鳴かれると、居合わせた人たち全員が、
「ニャーーンッ!」
と声をそろえて応えます。


猫好きの人なら、お分かりいただけると思いますが、
そうでない方には、
「なにやってんだ?」
と驚かれると思います。


猫の人って、ホント他愛ないことで喜んでしまうのです。
あ、「猫の人」って言い方も、当たり前に使ってますが、
不思議な言い回しですねぇ。

話を戻すと、夏子姫の場合、
「お膝に乗りたいの」
とか、
「夏子、ウエットが食べたいわ」
とか、意思表示でき、会話は普通に成立します。

これって、けっこうスゴいかも?


そして、意外なことに、よくよく観察すると、猫同士の会話はないですね。
喧嘩などでうなり声を上げることはありますが、それ以外はまずないでしょう?

つまり猫の鳴き声は、ほどんど人に向かって発せられているってことです。
猫たちが人に分かるように、コミュニケーションを発達させているのだと考えると、
いやぁ、全くもってありがたいことではありませんか!



私たちも頑張って猫語に励まねば、ね。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。


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