2013年2月11日月曜日

相談その2 食いしん坊の猫


なんでも食べてしまうので、食べ物を出しておけません。(千葉県 30代男性)



なんりから

アメリカ生まれのベンガル種・コタ(オス・9歳)は無類の食いしん坊。
その食への執着心は凄まじいものがあります。

ある日は、キッチンのフタ付きペールを倒して、
中からおせんべいの空き袋を引っぱり出し、食いちぎっていました。

毎度私が食べ終わった丼やお皿を舐め回し、洗いたてのようにきれいにします。
我が家ではこれを「コタのお皿ピカピカサービス」と呼んでいます。

他の猫が食べ残したものは、当然コタが片っ端から平らげていきます。

高齢の猫が、いつでも食べられるように常時ごはんを出しておきたいのですが、
そんなことには構わず、これもコタが食べてしまいます。
やむなく、お年寄り猫2匹を寝室に閉じ込め、

「コタ入室禁止」

にして、ごはんを置くようにしました。

ところが、コタは寝室のドアの把っ手をぐいと押し下げて、
いつの間にやら寝室に侵入し、年寄り猫ごはんを食べてしまうのです。

そこで、ドライバーを使って、ドアの把っ手の向きを変えてみました。
するとコタは、今度はどうしたと思います?

ドーン、ドーン、ドドーン!

なんとドアに体当たりし始めたのであります。
「そこに食いもんがあるのはわかってるぞー。俺に食わせろー!」

眠っている時以外は、食べることしか考えてないコタなのです。

このコタのおかげで、猫ごはん作りに開眼できたのも事実です。
なにせコタなら、なんでも食べてくれますからね。

私がキッチンに行くと、なにか貰おうとして、必ずついて来るコタ。
大きな身体で足元にまとわりつかれると、ちょっと危ない。


ある日、私が鍋の用意をしていると、下方で、
ショリ、ショリ
という音。
なに?
と見ると、コタが白菜を齧っていたのでした。
思わず、
うーむ
と唸ってしまいました。



また、ある日、お客様にお茶をお出しし、
お持たせの栗どら焼きを食べようとした時のこと。

お客様が今まさに口に入れようとした瞬間、
目の前をコタが横切って、お客様の栗どら焼きをかっさらって行きました。

居合わせた全員がびっくり、そして大笑い。

コタは栗どらをペロリと食べて、満足そうに、顔を洗っていました。
こんなコタに、

「食べちゃ、ダメーっ!」

と言っても聞くもんではありません。
なので、肚をくくって、

「もう食べたいだけ食べなさい。でも、どうなってもしらないよ」

と宣言しました。

それからのコタは、さほどガツガツせず、
おいしそうに食べるようになったのです。

それから、しばらくして、腎臓を煩ったコタは
3ヶ月間の通院の末に亡くなりました。

病院でも食欲が衰えなかったから、そこまで持ちこたえたのだと思います。

コタの元家族の方は、

「あんなに食いしん坊でしたから、
そんなに長生きはできないとわかっていたけれど、
コタはいろんなものを好きなだけ食べて、満足したと思います」

とおっしゃっていました。

食いしん坊コタとの暮らしは驚くことも多かったけれど、本当に楽しかった。
きっと食べることが本当に好きな猫だったんですね。

食事を制限して長生きするのもありでしょうが、
私もコタのように食べたいものを、美味しく、楽しく食べていきたいな。


さぁ、第2回はいかがでしたか?
「○○しちゃダメ!」ばかりでは、窮屈です。
でも、世の中、制限が多いと思いませんか?
今回のお話は、決して、積極的に薦められるものではありませんが、
食いしん坊のコタみたいな生き方もあり、と私は思っています。

それではまた来週!  なんりひでこ

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