2013年3月4日月曜日

相談その5 ほんとに猫は不妊すると太るの!?


猫は不妊手術をすると太るって、本当でしょうか?(富山県 50代女性)


 なんりから

「なぜ、不妊手術をすると太るのでしょう?」

たいていの方は
「ホルモンバランスが崩れるから」
とおっしゃります。

さらにつっこんで
「なぜ、ホルモンバランスが崩れるのだと思いますか?」
と聞くと、
「うっ…」
とほとんどの方が絶句します、はい。









わかったようでわからないホルモンバランス、
みんなが言ってるホルモンバランス。

ホルモンバランスに関しては、ひとまず置いて、
「不妊で太る」そもそもの原因を見直してみましょう。


不妊していない状態では、猫のオトコもオンナも


「子孫を残そう!」


という本能が働きます。



オンナはフェロモンを出して、いいオトコを惹き付けようとする。


オトコは、いいオンナを探して遠出をしたり、獲得競争でケンカをしたり。


しかし、不妊手術をすると、こうした種の保存欲求がなくなるわけです。
性の衝動が起こらない。

結果として、消費エネルギーが激減するんですね。

ところが、不妊前と同じ内容と量の食事。
こりゃ太ります。

ってことは、不妊した後に猫が太るのは、ホルモンバランスというよりは、
人の認識不足が原因だと思いませんか?


「まだ残ってるから、もったいない」


からと、不妊手術後も「子猫用」のドライフードを出してる人、いませんか?
それで、


「やっぱり、不妊手術したら太った」


なんて言わないでくださいね。

不妊の再手術をするはめになった我が家のモモのお話もしておきましょう。

メス猫の避妊(オスは去勢)は、子宮と卵巣を全摘出するのですが、
モモの場合、卵巣の取り残しがあったため、手術後も疑似発情が続きました。


昼夜を問わず、アオーン、アオーンと狂おしく、鳴き叫び、
痩せて毛ヅヤは悪くなるわ、目がつり上がって美貌も台無しになるわ。
いっしょに暮らす私たちも、だんだんイライラしてくるわ。



懸命に再手術をしてくれる病院を探しますが、難しい手術らしく、
なかなか引き受けてもらえません。

最初に手術をした獣医は、


「頭のいい猫は発情を記憶していて、繰り返すことがある」


と言って、取り合ってくれませんでした。

初めは

「そんなものかな? なにしろ、うちのモモちゃんは賢いから」


と思ったのですが、1年、2年と経つにつれ、疑似発情はますます激しく、
頻繁に起こるようになって、心底参りました。


その間、モモを気の毒に思う気持ちと、モモが憎いと思う理不尽な気持ちが、
行き来して、自己嫌悪も進みます。
しかし、灯台下暗し。

なんと再手術を引き受けてくれる病院は、
自宅から歩いて10分のところにあったのです。

その後、その獣医さんが、私がキャットシッターになる後押しを
してくれることになっていくのですが、その話はまた今度。

さて、モモの再手術は、獣医さん2人がかりで4時間半もかかりました。
モモは3キロ弱の小さな身体で、よく耐えてくれました。


取り残されていた卵巣は、5ミリにも満たない小さな肉の固まり。


これが、モモと私たちを数年に渡って苦しめた物体なのか!
 

モモ、2度も手術をさせてごめんなさい。
しかし、いくら謝っても、済むものではありません。

どうぞ、みなさんも不妊手術は、くれぐれも、
信頼できる獣医さんにやってもらってくださいね。




さぁ、第5回はいかがでしたか?



今回はバースコントロールのお話でした。
いまだに毎年何万匹もの子猫が殺処分されている、日本。
「捨てない、増やさない、いじめない」
これが徹底できれば、日本の文化レベルも少しは上がるはずなんですが。
キャットシッティングの現場では、すべての猫は救えないと痛感させられることも多い現状。
せめてご縁があっておつきあいする猫たちにはどうか倖せになってもらいたいと思います。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

  
 
毎週月曜日、あなたと猫が幸せに暮らすヒントをお届けできたら嬉しいです。

それではまた来週!  なんりひでこ

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